認識Ⅱ

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私はフッと自嘲の笑みを浮かべた。   あの時、担任だった先生が気付き、呼び出され事情を話す事になってしまったのだが、誰もいない場所で心配そうに尋ねられた私は、急に涙が溢れ出して止まらなくなったのだ。   上手く話せるはずがなかった。   「父に…」とだけしか言葉に出来なかった私は、涙は止められなくても、声を抑えるのがやっとだったのだから。   その時私は、子供に戻ってしまった様に泣きじゃくってしまうのではないかと思う程、感情と言う感情が津波の様に押し寄せて来て、自分でも怖いと思ってしまったのだ。   自分が自分じゃなくなりそうな気がして…   だから私は、今まで一度だって昔しの話しはしないし、なるべく心配もされない様に「私は大丈夫なのだ」と明るく、時には先程の様に茶化して見せたりしてしまうのだ…   きっと私は、この先もずっと、この闇を一人で抱え込んで生きていく…   とぼとぼと歩きながら月を見上げた。   私は本当にそんな事が出来るのだろうか…   この重たい過去を誰一人として打ち明けないまま…   私は自分自身がそれほど強くない事を知っている。
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