認識Ⅱ

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結婚したあの[誠一]には、打ち明けたのだろうか。   だけど…   例え打ち明けていたとしても現状がこれだからと、筆舌にもし難い思いで苦い微笑を浮かべた。   溜め息を一つ洩らし、とぼとぼと歩いていると、点滅信号のある十字路を目の前にしていた。   次はどっちに行こう…。   時間を確認すると、あれから15分程経っている事が分かった。   方向的には左の方に病院がある筈だからと、私は躊躇う事なく左に曲がろうと足を進めた。   こう云う時と言うのは、迷った素振りを人に見られるのも、感付かれのも恥ずかしい物で、私は行き交う人々に「まさか、こんな所で迷ってる訳がないじゃな~い♪」と心で訴えながら、平然を装い曲がり切った。   だけど、良く道に迷う人には分かると思うが、曲がり角を曲がった後も平然を装うには、曲がって切り変わった景色の状況、情報を瞬時に把握しなければならないのだ。   それに当然、本当にこっちで良かったのだろうかと言う不安にも襲われる。   曲がりきった私は、この道の先を目で確認しながらも、内心ドキドキハラハラものだった。   「あ!!!」
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