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「で、なんでここにおまえ等がいるんだ?学校はどうした?」
明らかに不機嫌な様子で顔を引き攣らせた圭吾が、カウンターに座る拓磨と昌哉を目の前にして問い詰めていた。
「だって、坊ちゃん俺が言っても聞いてくれないっす…」
「俺は坊ちゃんじゃねぇ!」
圭吾に説明し出すや否や昌哉にそう一括された拓磨は、その苛立ちから平然と宿題を続ける昌哉のその後ろで拳を振り上げそうになったが、思い留めて圭吾に向き直ると「若~」と弱々しく困窮した顔をして救いを求めた。
「……俺も若じゃねぇし、拓磨、いい加減に呼び方変えろよ。」
はぁと深くため息を吐くと、座敷の方で酔ったまま眠っている薫を横目に奥に入って行った。
昌哉は圭吾の腹違いの弟で小学四年生だ。
まさかその、本来なら小学校にいるはずの弟がここにいるとは思いもしなかった圭吾に、昼休みの休憩を取りに来たのにも関わらず、通常の何倍もの疲れがどっと押し寄せた。
再び重苦しいため息が漏れる。
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