つれない師匠とめげない弟子

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つれない師匠とめげない弟子

 国の役人でさえ、辺境の地ゆえに足を踏み入れたがらない鬱蒼とした森の中に、一軒の小さな小屋がある。  それは古い木造の為に、一ヶ所が壊れれば無造作に板を継ぎ足し補強され、ぱっと見の印象は誰も住みそうにない外観となっていた。  そこには青年魔法使いと押しかけの若い弟子が住んでいて、毎日ひっそりとその日暮らしをしている。 「お師匠様」 「何です?」  世俗を嫌い、他者と群れたがらない魔法使いの青年は勝手に押しかけてきた弟子の声に反応し、それまで読んでいた魔法書から視線を離した。  家の中は無駄に大きな釜が中心で鎮座し、中は不思議な薬品を錬成しながらぐつぐつ煮込まれ、天井からは謎の動物が干物のカーテンと化し、古ぼけた棚は絶妙な角度で傾きつつ謎の薬品の瓶類が並べられている。  生活感ゼロ。とにかく整頓されているようでされていない。 「腰痛に効き目のある特効薬です!ほら、お師匠様最近体動かしてないから腰が痛くなるって言ってたじゃないですか。俺、色々薬品とか調べて作ってみたんですよ」  ほう、と手渡された小瓶を開け、師匠の青年は中身の匂いを嗅いでみる。そして冷静に「あのね」と冷静かつ呆れた声を放った。     
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