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私が彼を好きになった訳は...。“あれは桜の咲く高校の入学式だった。こんな日に寝坊して時間ギリギリだった。慌ててふためいていると、彼が声を掛けてくれた。
「...どうしたんだ?」
「...あの、どこに行ったらいいか解らなくて...。」
彼はクスッと笑った。
「あの・・・」
「ごめん、ギリギリだから急いだ方が良いよ。君、名前は?」
「私は、日生雪菜です。」
「俺は神谷鏡。宜しく。どうやら、同じクラスみたいだから、案内してあげるよ。」
と言って、教室まで案内してくれたのだ。
その時の笑顔で手を差し出してくれた。その優しさと笑顔に恋に堕ちてしまったのだ。
だけど、彼がそんな風に笑ったのはそれっきりだった。
その理由はなくなった恋人のせいらしい。
彼は笑顔もほぼ見せない。彼が時折見せる笑顔は、悪魔の様に冷たく、だけど魅惑的な笑顔で人々を魅了するが、氷の様に冷たい言葉を浴びせたりと冷たい表情をすることから、その姿は悪魔の様で、時に甘やかな顔を見せる王子の様なので、彼の名をもじって、鏡の仮面の持ち主と裏表のある王子と呼ばれていた。
通称”鏡の仮面”と呼ばれていた。
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