きっと、タイミングのせい

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それは、一瞬の出来事だった。 (ほとばし)る閃光に包み込まれた私は、思わず目を大きく見開いてしまった。 こんな経験――生まれて初めてだった。 やっと大人になれたのかなって……妙に浮ついた気持ちになった。 でもそれは――本当に一瞬のときめきだった。 憧れを抱いていた気持ちを打ち砕いたのは、劇的に合わなかった二人のタイミングのせいだった。 だって、そうでしょう? 貴男は私の呼吸に合わせようとしないで、一人で先へ先へ進めてしまうから――。 自宅マンションで一人酒をしながら深い溜息をついた私は、鞄の中から財布を取り出した。 カードポケットに入っている、緑色の帯が中央にある運転免許証を手に取り――私は思い切りゴミ箱に投げ捨てた。 「なんでこんな……半目で口が開いた状態で写真を撮るのよ!!!!」 運転免許証の写真写りが良い方、本当に羨ましい。 ※ゴミ箱に投げた免許証は、きちんと拾いに行きました。
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