大人

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大人

「なっちゃんペア、ええよなあ」 塾につくなりそんな声が聞こえたものだから、私は受付のかげで身をひそめることしかできなくなってしまった。 「七ちゃんと奈都ちゃんか」 「二人とも背高いしキレイやし。中学生には見えんよなあ」 「いっつも一緒にいたはるしな」 大学生の先生たちだ。先生たちはいつも楽しそうだ。いつも笑って、そのたび男子女子かまわずぺたぺたと身体を叩きあっている。 なんだか嫌だなと思う。 でも毎日ああいう風に楽しく過ごせるのはいいなと思う。なにかに怯えたり、ささいなことで傷ついたりすることなんてなくなって、あんな風に笑う日が、私にもやってくるのだろうか。 「もしかして付き合ってんのかな」 「ガールズラブってやつ?大好物なんやけど」 「ええ、お前そんなん好きなん。気持ちわる」 なんでだろう。気持ち悪い、という言葉に胸が痛む。 「やとしたらどっちが男?」 「七ちゃんちゃう?年上やし」 「いやいや七ちゃんが女だろ。おっぱい大きいし」 「お前サイテー。そんな目で生徒みてんの」 笑い声が響く。ぺたぺた触り合う先生たちを想像する。     
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