サカナは出会い、青春を駆ける

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サカナは出会い、青春を駆ける

 世の中には多種多様な人間が入り乱れて存在している。背が高い人、足が速い人、頭がいい人、力が強い人、気が弱い人、優しい人、怖い人、意地が悪い人、嘘が上手い人、お金を持っている人、仕事がない人、家がない人、恋人がいる人、友達がいない人、肉が好きな人、魚が嫌いな人。とにかく地球上に七十億人もの人がいるなら、七十億通りの人の在り方が見られる。生まれたときから人は他の人とどこか少しずつでも違っていて、その違いこそがその人の存在を顕著にしており、そこに意味を見出すような見方をする人もいる。  その中でも特に表立って、かつ際立って違いが現れるのが外見だろう。人間は昔から外見の醜美を様々なことの判断基準として、ときに醜い者は世から排斥され、ときに美しい者は巨万の富を得た。かのクレオパトラはカエサルやアントニウスをその美貌で魅了したと言うし、現代の日本の音楽シーンは容姿によって売り出されたアイドルたちが覇権を握っている。そうやって美男美女たちが優遇されている一方で、その影に追いやられていった醜い者たちは多くいる。     
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