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世は幕末。
新撰組を筆頭に数々の武将が生まれたこの乱世は武将以外には辛い世の中だった。
江梁(こうりょう)
この小さな村には変なしきたりがあった。
「なぁ…今年はお前なのか雫(しずく)?」
男が聞いた。
石の上に座る雫に重なる様に月の光が照らし出されながら答えた。
「そうだよ、瑞希(みずき)…」
その雫の姿は美しく綺麗だった。
「俺はお前を助けたい!」
瑞希のその言葉に雫は悲しい顔をしながら答えた。
「いいよ…村のしきたりだから……」
そう、この2人は男同士で恋人同士で幼なじみで親友だ。
けれども、この時代に男同士の恋愛は珍しくなんてない。
「でも、恋人なのに助けたくないわけないだろ?」
瑞希は怒りながら雫に言う。
「だからってあのしきたりからどうやって逃げるんだよ!」
雫も負けじと怒りながら言った。
そう、この江梁には変なしきたりがある。
それは今年1番の美少年を花街へ売り出し村の資金を幕府から貰うしきたりだ。
そのおかげでこの村人達は生きることが出来てこの潰れかけの村は潰れずに済んでいる。
「なぁ…この村から逃げよう……」
瑞希の言葉は雫にとって嬉しかったけれど、そのおかげで他の人が死ぬのは我慢できなかった。
「でも…僕にそれは出来ないよ……」
雫は落ち込みながら言った。
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