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第3章 遺跡入口
「……………?」
扉の向こう側へと辿り着いた二人は、しばらく辺りを見渡した。
「ここ…どこだ?」
二人の目の前には変わった景色が広がっていた。辺りに人の気配はなく、それどころかもうずっと永いこと生き物の存在すらなかったかのような、そんな感じのする空間だ。全体的に薄暗く、岩のような石で積み上げられたような壁。そのような建築は、アラヌスの知る限り昔の遺跡の跡地などでしか見たことがない。自分達の暮らす街の建築様式ではなかった。明かりはなく、窓もない。ただぼんやりと自分の周りがうっすらわかる程度。二人の立つ場所は後ろが壁…いや大きな両扉だ。取手もない扉。押しても引いてもびくともしない。その扉の反対側は、闇が深くなっていくただただ真っ直ぐな道が続いている。
とりあえず、明かりもないのでアラヌスが火の魔法で蝋燭ほどの明かりを指に灯した。
「至るところにヒビが入ってるわね。相当古い建物みたいだけど…」
「ああ…この建築様式…遺跡で見かけるものに似てるな」
「遺跡?」
ルチーナは聞き返す。
「この石積み式の壁、前に探検した遺跡でも同じようなのがあったんだ。特定の時代では石積み様式が一般的なんだけどな」
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