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遺跡の入口と思われる場所から一本道をまっすぐ突き進む。すると少し開けた所に出た。そこはこれまでの道と違い、明かりが灯っている。燭台が壁についている。これもこれまでの道にはなかったものだ。さらに、通ってきた道になかったものと言えば、天井まで伸びている壁際の大きな石柱だ。全部で12本、所々折れていたり欠けていたりするが、半分はそのまま残っているようだ。
「急に視界が開けたわね。明かりもついているし、さっきまでとは全然違う感じよね」
広場…というのか、まるでエントランスのようにも思える。ただ、エントランスとも広場というには相変わらず窓もないし、外の様子を窺うことは出来ない為、当てはまるかはわからない。
「やっぱり窓はないか…。柱があるってことは…神殿とかそういう神様とかを祀る遺跡だったのかな?けど…」
アラヌスは見渡しながら、首を傾げた。その様子を見て、ルチーナは問う。
「何よ?何が言いたいの?」
「あー…いやさ、さっきここが海に沈んだ遺跡かもって話したじゃん」
「そうね」
「それにしてはさ、そもそも陸にあったなら窓とか明かり取りの穴とかあってもおかしくないじゃん。てゆーか無かったら変じゃんか。なのに全然無い」
「…普通、あるわよね。明かりの為、外の様子を見る為。空気を入れ替える為にも必要よ。…確かに、この建物はおかしいわ」
ルチーナとアラヌスは広場の中央まで歩く。もし、ここが海底に沈んだ遺跡なのなら湿気を感じないのは何故だろう。壁の至るところに走るヒビから水が入ってこないのは?どれだけ見渡してもその疑問は晴れそうにはない。
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