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15分程経った頃、ルチーナがアラヌスを呼んだ。
「何?ルチーナ。何かあったのか?」
「ああ、アラヌス、来たわね」
ルチーナがいたのは、入ってきた場所から見て左奥の石柱の前。その柱は真ん中から上がぽっきりと折れていた。
ルチーナは指で柱の方を指す。その先には石柱に埋め込まれた石盤があった。その石盤自体はどの柱にもあるものではなく、どうやらその柱だけに埋め込まれたもののようだ。
「石盤?そんなのがあったのか」
「ええ、でもこれ、所々読めないんだけれど、かろうじて読める部分があるのよ。それがここ」
アラヌスはルチーナが指で示した部分を読み上げた。
「この地にそびえし神の城、嵐神さえ住まうは天空城 石の道をのぼらん」
思わず二人は顔を見合わせた。
「…どういう意味か…わかる?アラヌスなら」
「さぁ…オレに聞かれても」
石盤に刻まれた文章は何となく不完全で、意味が通じない。何らかの意味があるのだろうが…。
だが、それよりも、不思議なことがある。
「なぁ、何でこれ…読めるんだ?」
ルチーナがきょとんとした顔でアラヌスを見る。
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