第4章 封印の間

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第4章 封印の間

二人が辿り着いたのは、二つのドラゴン像が向かい合わせに置かれている中央の錠と鎖で厳重に閉じられている巨大な石で出来た重厚な扉が印象的な部屋だった。 まるで何かを封印しているようだ、とアラヌスは思った。重々しい空気が漂う。二人は、食い入るようにその光景を見る。よく見ると、巨大な扉には文字が書かれているのがわかる。だが、先程の部屋で見た石盤のような読める文字ではなく、おそらく、この建物が建築された年代に使われていた文字だ。その上、書かれた文字は、削れていてほとんど読める状態にはなかった。 「行き止まりか…」 アラヌスはドラゴン像と巨大な扉を見比べたり、入ってきた入口や他の壁を見てみる。ここもまた、大きな箱の中にいるような、四角い空間のようだ。ただ、扉やドラゴン像を照らし出す松明はあるが、周囲の壁を照らし出す明かりはないので、アラヌスが立つ中央付近からでは壁の詳細はわからない。 「おかしいわね。道、間違えたのかしら」 ルチーナも入口からアラヌスの近くまで歩いてくる。アラヌスの指先の火の魔法が二人をほんのり照らし出す。 「おっかしいなー。道なりに来たはずなんだけどな…」     
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