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序章
宇宙の中の世界樹からなる小さな星。先祖が残した数々の遺産と謎、魔法が入り交じる世界。この世界の人々は才があれば誰でも魔法を使える。ただし、その威力や系統等は、血筋や得手不得手によるところが大きい。世界の果てを夢見る者、日常に魔法と共にある者、その力の使い道は様々である。そして大自然の中には精霊や幻獣といった人ならざる生物達もまた、のびのびと暮らしているー。
ある秋の日の昼下がり。
「…よし。…いなくなったな…」
植木の茂みの中から少年の声がする。どうやらこの少年、何かから逃げ隠れしているようだ。
「…ったく。毎日毎日あきないよなーあいつ」
頭を掻きながら少年は茂みから顔を覗かせ、周囲に気配が無いことを確認したあとその姿を現した。その時、どこからか風が吹き、立ち上がった少年の赤味が掛かった栗茶色の短い髪をなぜた。まだ十代前半であろうかという見た目のこの少年は長袖の上着に短パン、ショートブーツというような服装だ。瞳の色も髪の毛と同じく少し変わった色で、黄緑寄りの黄色だ。
「さて…」
少年はある方向へと歩き始める。
少年の目の前には広大で鮮やかな青い海が広がってたーー…。
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