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明らかにヤバイものを見てしまったかのような表情で少年はルチーナに問う。
その質問に対し、ルチーナは
「何で…?まさか…私から逃げ仰せるとでも思っていたわけ…?ア・ラ・ヌ・ス?」
「い、いや…そんなこと…ナイデス…」
アラヌス、そう呼ばれた少年はルチーナを見て、どんどん小さくなっていく。
昼下がりに逃げ隠れていたのは、どうやら彼女かららしい。ルチーナはアラヌスの前に腕組みして仁王立ちすると、
「魔法なんて使って何処に行く気だったの?私がせっかく作ったお昼ご飯、放置して」
と、言った。こめかみにばつ印を浮かべ、眉はつり上がっている。
「毎日毎日ご飯作ってあげているのに、食べもせず出かけるとはいい度胸じゃない!」
最後の方は叫んで、ルチーナはアラヌスを睨み付ける。相当怒っているようだ。
「…だって…ルチーナの料理は美味しいんだけど…」
言いにくそうにアラヌスは俯きながら言葉を慎重に選ぶが、そのまま押し黙ってしまった。
それにイラついたルチーナは「けど、なによ」と催促する。すると
「けど…」
すーっと息を吸い込み、叫んだ。
「オレの嫌いな具がたくさん入ってんだもん!!」
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