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「や…わっわかんない…海の方から音がしたよな…」
二人が視線をやると、先程まで青く広がっていた綺麗で穏やかな海ではなく、荒々しく大荒れとなった狂気の海となっていた。
「どういうことなの?どうして海があんなに荒れてるのよ!今日は嵐もなにも来てないはずよ!?」
突然の出来事に、すっかり動揺を隠せないルチーナはアラヌスの背に隠れるようにして荒れた海を見つめている。そんな彼女を庇うかのようにアラヌスは片手を広げ、海を見る。
そして、アラヌスはあることに気が付いた。
「あれ…?なんか変じゃないか?」
「え?な、何が?」
ルチーナは彼が言わんとしている事がいまいちわからないようで、アラヌスを怪訝そうな顔で見つめる。
「いやさ、この海ってさ、でっかい岩の柱あったよな?なんか“神の柱”とかって言ったっけ?昔っからあるって話の」
「ああ…あったわね、確かに。あれ…?でも、今は無い…わね」
二人は以前、確かに存在していたはずの“神の柱”があった場所を見る。何度見てもそこにあったはずの柱は無い。これは一体どういうことなのだろうか。
「まさか…。ねえ、さっきの音って…もしかして…」
「うん…。あの海に大きな何かが落ちたような音…柱が折れて沈んだ音だったのかも」
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