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みんなで集まろうとした前日、美咲からまたメールがあった。
「そういえばさ、この間、ネット動画みたんだけどさ。驚いたんだけど」
と、ビックリマークがたくさん画面に踊っていた。
「同じクラスだった、和美、知ってる? あの子お笑いやってるんだって。話題の動画にさ、漫才で出てたんだけど」
和美、と頭のなかをフル回転させてもどうにもぼやけてしまってうまくピントが合わない。誰だろうと思い出そうとしているところでメールがまた入る。
「おばさんと漫才してる。相方に逃げられて師匠と漫才コンビを組んだとかで。知らない? あの伝説の女漫才師」
「知らない」
「未来はテレビみてなかったもんね。動画のURL教えておくからさ、今度会うときまで見てよ」
と、ご丁寧にURLの貼ったメールを送信してきた。
再生すると、おかっぱ頭の和美の紅潮した顔は高校時代の辛気臭そうな顔とは違っていた。伝説の女漫才師との掛け合いが絶妙で和美がひっぱっているのか、その女漫才師が引っ張っているのかわからない。でも、けっこう年の離れた二人なのにここまで心を通わせるには相当の苦労があったんだと思う。
「ためてためて?」
「そして、こうだ!」
と、和美はおしりを突き出している。師匠と呼ぶ和美よりもひとつ頭大きく、細い体つきの女性は右手で鼻をつまんで左手で空気をかき混ぜている。
「たまったものは吐き出さないと」
「体にあきまへん」
二人声をそろえている。他人の評価をみると、面白い評価が多かった。
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