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9月も終わろうとしている日曜日の午後、少し早くコーヒーチェーン店に入り、奥にある4人掛けのテーブルを占拠し、二人を待つことにした。
「ごめん、未来、待った?」
手をふって最初に現れたのは、ピンク色のスカートにフリルのついた白いブラウスを着た凛子だった。
「待ってないよ。全然」
「学生時代と変わってないね」
と、やんわりというけれど、凛子もずいぶん変わってないよ、と返すと、やだもーと声を弾ませながら自分の頭をぽんぽんとたたいていた。
遅れてやって来たのが、Tシャツにジーンズ姿の美咲だった。
「凛子、先にきてたんだ。未来、お久しぶり」
この二人は頻繁にでかけているのをSNSでチェックしていた。
別に深入りすることでもないけれど、結局わたしという存在はいてもいなくても別にいい扱いなんだなと割り切っていた。
「久々だね、未来。こうやって会うと昨日のことみたいに思えるなあ」
凛子が目を輝かせながら話を切り出す。店員が来たのでわたしと凛子はアイスコーヒー、美咲は紅茶を注文した。
まずは近況報告として、凛子から話す。凛子は専業主婦として家を守っている。まるで実家の母の話を聞かされた気分になった。
美咲も主婦で小学生になる二人の子供を旦那に託してやってきたという。子供の話が最高潮になる前に凛子が目くばせを送り、美咲は急に口をつぐむ。それを見計い、わたしの番になると、二人とも少しだけ体を前のめりにさせた。
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