未来(みく)の事情

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「そういえば、和美に教えてもらった。ポイントの話」  凛子が何気なくつぶやいた話にピンとくるものを感じた。そういえば、わたしも和美から休み時間にそんなことを教えてもらったんだった。 「人にはそれぞれ自動的にためてるポイントがあって、それを消費していきてるんだって」  ポイントのランクとかありそうだよね、きっと、と美咲がいう。  和美はお笑いのポイントを溜めて、今、消費している真っ最中なのだろうな。 「ためてためて?」 「からの、どーんだっけ?」 「そう。どーん!」  隣に座っていた大学生ぽい男女カップルが怪訝な表情を浮かべてこちらを伺っている。うるせえんだよ、ババア、とでも顔に書いてあるようだけれど、もう気にしない。幾重にも重なる年齢という層はたまっていく一方だから。  一番の幸せをポイント交換したのは和美なんだろうな、と美咲と凛子と一緒にスマホに映る和美と師匠の漫才をみながら心の底から腐りきった澱を拡散させつつ笑った。
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