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「よう、元気?」
二回生のときキャンパスの真ん中の交差点で、いきなりそう話しかけられて私はちょっと驚いた。
中島くんは一年浪人して、今年うちの大学に入ったんだと言って笑った。
「お前まだ夕暮れなんとか読んでんの? ほら須藤なんとかが出てるやつ」
「夕映えアンチテーゼ」
と私は正した。
「あはは、変わってねーなー、お前。大学入ってもまだ須藤なんとかに夢中なんだ」
中島くんがなんだかやけに嬉しそうにそう言って、それから私にお前はサークル何やってんの、バイトとかしてないの、外国語は何選択してんの、なんて畳みかけるように訊いてきた。
細身のジーンズにボーダーのTシャツ、いつの間にかピアスなんか開けた中島くんは、控えめに言って全然かっこよくなんてなかった。
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