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「ったく・・・久々の再会だってのに、えらい目に遭ったぜ。一体、どうなってんだよ、この店は?」
大和とユエの向かいにドッカリと座り込んだ人物は呆れたように頬杖をついて、何事もなかったかのように目の前に座っているユエに視線を向けた。
「まず、1つ言わせてもらうなら[さっきのはユエの独断]て[この店自体はまったくもって関係ねぇ]からな?その辺を勘違いすんじゃねぇぞ、この[チャラ男]が。」
「えっ?何、コイツ?この店のマスターだろ?[マスターとしての接客、完璧アウト]じゃね?[店の名前と接客態度が真逆]じゃねぇか・・・[少しは客をもてなしたらどうなんだよ?]」
「まぁ、こう見えても[俺がこの街に来た当初はちゃんと接客してた]んだぜ、[ちゃんと]な。」
「おい・・・[今、なんて2回言った]んだ?陽光に大和のある事ない事吹き込んで、修羅場にでもしてやろうか?」
「地味に面倒臭ぇ事言うの止めろ!!お前なら本当にやりそうだから、尚更怖ぇわ!!」
「それじゃあ、アタシは大和ちゃんのお店でちょっとお買い物して来るわねぇ~♪」
そう言って、一連の流れを見届けたユエは再び座敷席から立ち上がった。
「おいおい・・・なんだよ、ユエ。久々の再会だってのに、えらく冷てぇな?」
「あら、そう?[日本での開業資金の援助までしてあげたのに、今の今まで連絡の1つも寄越さない人よりは数倍マシ]だと思うわよ?」
「それは・・・まぁ、その・・・悪かったよ。」
「アンタもユエと同じ・・・[同業者]なのか?」
ユエと顔馴染みである人物に対し、漣はタバコに火をつけながら質問を投げ掛ける。
「ん?なんだ?[マスターは知ってんのか?]」
「えぇ、[知ってる]わよ。だって、アタシが言ったもの。それに[大和ちゃんが依頼人だった]からねぇ。」
「あぁ、だからか。つーか、まだマスターに自己紹介してなかったよな?俺は幻中タケルってんだ。[これから]よろしくな、マスター。」
「・・・なぁ?[これからって、どういう事だ?]しかも、大和とタケルって・・・お前ら、[名前がある意味]凄ぇな。」
ニッコリと人当たりの良い笑みを浮かべるタケルから右手を差し出され、漣は訝しげな表情を浮かべたまま(仕方なく)その手を取って握手を交わした。
なんとも対照的な反応である。
「あれ?大和・・・お前、[まだ言ってねぇ]の?なら、説明すっから話でも聞いてくんねぇかな?あぁ、ユエ。お前もな。」
外へ向かおうとするユエを引き止め、頬杖をついたまま、タケルはどこか上機嫌に語り始めた。
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