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「タケルちゃんったら、この街でお店を開くつもりだったの?そんな事しないで、アタシのお店で働けばいいじゃない。仕事が仕事なだけにいつも人手不足なのよ、アタシのお店。」
話を聞き終えたユエは呆れ気味になりながらも、しれっとタケルを勧誘した。
「ヤダね。確かに[ユエと一緒に働くのは魅力的だとは思う]けどよ・・・[客に媚を売るのが嫌い]だからな、俺は。」
「あら、それは残念ねぇ。気が変わったら、いつでもお店にいらっしゃい。歓迎してあげるから♪」
「いやいや、既に店の工事してっからさ。まぁ、ユエの店に飲みに行くぐらいなら、俺も[喜んで行く]けどよ。」
「なぁ?実は[さっきから思ってた]んだがな?アンタ・・・[もしかして、ユエに惚れてんのか?]」
とりあえず、ユエとの話が一段落ついたらしいタケルに漣が単刀直入に問う。
タケルは頬杖をついたまま、視線だけを漣に向け、ニヤリと笑って言った。
「あぁ、そうだけど?俺、[昔っからユエにゾッコン]なのよ。まぁ、[相手にはされてねぇ]けど。」
「マジか?!初耳だぞ、それ?!」
「そりゃそうだろ?大和には言った事ねぇし、聞かれてもねぇからな。」
「・・・・・・[ユエだぞ?]」
「あら、漣ちゃん?[それは一体、どういう意味]かしら?アタシ、以前から[男も女もイケるって言ってる]じゃない。」
~チリンチリン~
「こんにちは、マスターさん。大学の講義が終わったのでバイトに来ました。」
タケルの爆弾発言で一瞬だけざわついた店内に真琴がトコトコと何も知らずにやって来る。
「小っさ?!えっ?アンタ、これで大学生なのか?マジかよ・・・小っさ?!」
「えっと・・・お友達ですか?」
真琴の発言と姿を見て驚くタケルに、真琴はキョトンとした様子で小首を傾げた。
タケルから[2回も小さいと言われた]事に対してはツッコミを入れる気はないらしい。
「そうそう。俺の大学時代からの[親友]なんだよ、コイツ。」
「俺からしてみれば[ただの客の1人]だ。」
「[腐れ縁]・・・ってやつになるのかしら?」
「まぁ、[見事に三者三様の反応]だな。つーか、ちょっと待て。[なんで、ユエは疑問形なんだよ?]おかしいだろ?」
唯一、[ユエの発言だけ]不満そうな声を上げたタケルは拗ねたようにツッコミを入れる。
「あら?[アタシ、何か間違った事でも言ったかしら?]腐れ縁って言われるのが嫌なら、タケルちゃんは[アタシの弟分]って事になるけれど・・・それでもいいの、タケルちゃん?」
「・・・・・・腐れ縁でお願いシマス。」
「つまり、ユエさんと大和さんのお2人と仲良しという事なんですね?」
そう言って、一連のやりとりを見届けた真琴はそのまま見事に話を締め括った。
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