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少しづつ知っていく彼のいろんな表情。
おとなしくて、真面目で、大人っぽい。そんな印象の彼だった。
でも、近づいて知ったのは甘いものが好きで可愛くて……少し意地悪な彼。
教室に入って、各々の席へと別れる。
少し、名残惜しくて彼の背中を目で追っていると振り返った彼と目が合う。
目を細めながら静かに微笑む彼に胸の奥がギュッと熱くなる。わたしだけがドキドキしているみたい。
恥ずかして、慌てて自分の席に座った。
「優菜ー!」
席に着く私を見つけると友達がすごい勢いでやってきた。
「この前は、本当にごめんね!!」
「いいよ、私も宮原のこと言ってなかったし…。」
「で、優菜から告ったの?」
「どうかなぁ、そうなるのかぁ…今は、もぅドキドキし過ぎてどうにかなりそうなんだよーー!」
友達に助けを求めるように机に突っ伏した。
「なんかさぁ、私ばっかりがドキドキしてるみたいなんの!!かなりいっぱい、いっぱいなんだよね。」
「…宮原って、クールそうだもんね。」
机に突っ伏したまま腕の間から見える彼は、相変わらず本を読んでいた。
「だからさ、放課後…は当分遊べないけどいいかなぁ。」
「いいよ、いいよ、気にしないで!そのかわり、近況報告はちゃんとしてよね!」
「了解ー!」
「ほら、席つけよー!!」
教室の扉が開き、先生が入ってきた。
HRが終わり、お昼前までに半分のテストが戻ってきた。今日は午前中までしか授業がない。
友達に別れを告げてから、宮原が座っている席へと向かった。
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