始まりは唐突に

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  何だってここは、こうガレキやらコンクリ片やらが多いのだろう。まあ、隠れ場所が多いのは有り難いんだが。 その分足場が悪くてコケ易い上に、逆に回り込まれでもしたら逃げ場がない。 「はっ、はっ…はぁ。 クソッ、このペースじゃあ…ちょっと厳しい、か?」 俺は後ろを何度もふり返りながら、走り続ける。“奴”に捕まったら、きっと今度こそ無事では済まされない。 「っ!」 不意にガツンと、何かが足にぶつかって俺は一瞬体勢を崩した。よろけて周りの注意が疎かになった途端に、ぞっとするような気配をどこからか感じた。 慌てて確認して見ても、“奴”の姿はどこにもない。気のせいかと思って前を見たら、十数メートル先に人影を発見。
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