始まりは唐突に

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“奴”だ。 充分に引き離したハズなのに、もう追いついて来やがったか。せめて今日一日くらいは、平穏無事に過ごしたいと思っていた所なんだが。 仕方ないな、ここは一旦回れ右で退散しよう。崩れた建物の間を走りぬければ、その内に彼女のことも撒けるだろう。 と、思っていた時期が俺にもありました。 「!?」 風を切る音がする。そう思った時にはもう遅かった。 俺は後方から強い力で引っ張られて、強制的に身体の動きを封じられた。腹に何かが当たってる。と言うか、圧迫されて息が苦しい。 よく見ると、俺の胴体には投げ縄もとい投げ有棘鉄線が絡みついていた。ここじゃ何をしても死なないとは言え、いくら何でもこれは酷い。
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