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「茜、帰ろう」
誰もいなくなったブース。
コツコツと足音が聞こえて、横を見るとすぐ隣に竜くんか来ていた。
「あ、うん!」
竜くんが少し遅くなるってことで、終わるまでパソコンであたしも作業をしていた。
独り立ちまであともうすぐ。
いろいろ最近は勉強してるところだ。
「今日、行きたいところあるんだ」
優しい目をしてあたしを見ながらそう言われる。
「行きたいところ?」
「うん。でもまだ内緒な」
あたしの唇に人差し指指を当てる。
その行為だけで、あたしの心臓はうるさくなる。
もう竜くんと付き合って結構経ったのに、一向に慣れないこの心臓。
「……会社なのに」
「え?なんかした?」
キョトンとしてる顔に、恥ずかしいのはやはり自分だけでしゅんとなってしまう。
「……なんでもない」
とりあえず恥ずかしいし、竜くんの顔が見れないのでブースから出ようと歩き出す。
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