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アルバイト募集はトラブルの元?!
ヴェレット通りを少し入ると、表の華やかさとはうって変わって廃墟ビルが立ち並ぶ。
そこを少し行ったところに、珍しく赤レンガで造られた建物が見えてくる。
日に晒されて崩れ落ちた建物の並ぶ中、その建物だけが色彩を帯びていた。
主のない、灯らない看板が周囲と赤レンガの建物を不思議と調和させている。
その看板の2Fを示す辺りに、『ダド探偵事務所』と書いてあった。
そして1Fの通りに面した壁には、
『探偵助手 アルバイト募集! 体力に自身のある方急募! 住み込み可』
という紙が貼ってあった。
人の通りがあるのか疑わしいほど寂しいその通りに貼られた紙は、役目を果たすことも出来ず、風に飛ばされようとしていた。
発音が似ているからというわけではないだろうが、神は紙に味方したらしい。運よく一人の人間の目に留まった。
その人間は少し何か考えているようだったが、やがて意を決したようで、建物の中に入っていった。
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