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「ちっきしょー!マキアのやろー!こんな時に怪我するなんて!」
叫んだのはこの事務所の社長兼課長兼部長兼係長兼平社員(とどのつまり一人しかいないのだが)のダド。
少し長めの髪を無造作に後ろで束ね、Tシャツにイージーパンツというラフな格好をしている。むき出しの腕は鍛えているらしく、少し筋肉質だ。
この事務所の内情は、こんなところに事務を構えているのだから当然、財政は赤字。
しかも先日請け負った仕事により、たった一人の社員というより、相棒のマキアが全治二ヶ月の怪我を負ってしまったのだった。
今まで二人でやっと片付けてきたこの仕事達、相棒がいないとなると頭脳プレーの苦手なダドは困ってしまう。特に目の前に積み上げられている書類の束・・・。
これに目を通し確認のサイン等々しなければならない。
これらをやらなければお金をもらえないし次の仕事にも入れない。それにマキアの入院費も払えない。
ダドは途方に暮れていた。
「あ~あ~、結局やるしかねぇんだ・・・」
ため息を深~~~く吐いて、ダドは諦めたようにペンをとった。
何枚目かの書類にだるそうにサインをしたとき、
コンコン
さほど広くない部屋にノックの音が響いた。
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