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「は~いど~ぞ~。鍵は壊れてるから勝手に入ってきてくれ~」
やる気が底をついてほじくり返しても何も残ってないような声を出す。
ドアノブがギシギシと音を立てながら開くと、一人の少年が入ってきた。
「あの、下の貼り紙を見たんですけど・・・」
それを聞いた途端にダドはパッと顔を輝かせて、
「アルバイト希望者か?!」
と聞いた。
「あ、はい」
と少年が答えると、勢いよく机から飛び出してきた。
「そいつはま~。ささ、汚いところだけど、掛けてくれ」
ダドは嫌な仕事から離れる口実が出来たと嬉しそうだ。
結局後でやらなきゃならないくせに。
言われたとおりに小汚いソファーに二人は向かい合って座った。
少年は少し薄汚れたコートを着ていて、年のころは16、7といったところか。脇に小さなバッグを抱えている。薄茶色の髪は柔らかそうで顔立ちはなかなか可愛かった。
「最初に言っておくけど、この仕事はきっついから、ケッコー体力が要るんだ、
・・・体力に自信は?」
服の下に隠されている体の線は、どう見てもたくましいとは考えられない。
「あ、こう見えても体力は人並み以上にありますので、大丈夫です」
少年はさらりと言った。
「名前は?」
「・・・ラスです」
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