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シェラルド通り。
他の通りに比べるとそこはまだ居住者も多く、小さな商店などもちらほらと見える。
シェラルド通り3-5。その廃墟ビルは10階建てで、かつては色とりどりに飾られ様々な人々がここに足を踏み入れたろうが、今では風に晒され、いつ崩れてもおかしくない程の有様だ。
昔は電気も通り、エレベーターなども動いていたろうが、今はガラスも割れて壁もあちこち崩れ、配管などがむき出しになっている。
必然的にダドとラスは階段を上がっていった。
ぜいぜい言いながら屋上に辿り着く。
「遅かったじゃないか」
屋上の縁に足を投げ出し、眼下を見下ろしていた少年が振り返った。
「あのなぁ、事務所からここまでどんだけかかると思ってんだ」
ダドとラスが丁度屋上の扉から出てきたところだった。
「歩いて二十分位」
「お前の二個目の目玉が飛び出して行ってまだ二五分だぞ」
「五分オーバーか」
「たわけ!10階まで上るのきつかったんだぞ!」
まだ息が切れている。
「ふん、ま、いいか」
と少年が立ち上がると、ピョンとこちらに飛び降りた。
「さ、ダド。その新人さん、改めて紹介してよ」
「へいへい。こちらはさっき入れたばっかりの新人も超新人、のラスだ」
「どうも、よろしく」
とラスが言った。
「僕はダド探偵事務所のスポンサーのアクス・バンダート。よろしく」
「というより、毎度お騒がせ小僧・・・」
「じゃ、僕他に頼もうかしら。今までの録音全部マキアに送ってから」
と、胸元からICカードらしきものをちらりと出した。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!いまのなーーーーし!」
とダドが慌てふためく。
「ふん、相棒が入院したってのは本当だったんだな」
突然、誰もいないはずの階段の方から声が聞こえた。
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