親子酒。

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それから2年はあっという間に経った。 2年かけてようやく、俺の作った下駄が店に並ぶことになった。 下積みを重ねて、ようやく出た『結果』だった。 欲しいものは何でも手に入ってきた、やりたいことは何でも出来た少年時代。 欲しいものを掴むには、大変な努力が必要なんだと実感した時だった。 職人として、いつか自立して生きていこう。 そう思った矢先の出来事だった。 珍しく、父からの着信。 電話を取るも、言葉が出てこない。 そんな様子を察し、父は用件だけを手短に話した。 「母さんが……倒れた。」
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