坂の上の、そのまた上の

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 少し高台にあるこの公園からは私の住む街が一望できる。地元民なら知らない人は少なくない良いスポットなのだ。今日も他に誰かいるのだろうと思っていたが、運良く他には誰もいないようだ。  眼下には夕焼けに染まる家々が立ち並び、少し高いマンションや中心街のビルは夕日を反射してキラキラ光り輝いている。  そしてもっと奥を見やると、真っ赤に染まった夕日がビルの影に隠れようとしている。いや、真っ赤というよりはちょうどそう、ピンク色の方のグレープフルーツみたいな、オレンジや赤というよりはそういうピンクに近い色をしている。  路地に目をやると随分家路につく人が増えてきたように感じた。  もうすぐ日が沈む。 反対側の空はもうどこか暗くなってきている。あと小一時間もすれば夜になるだろうか。
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