男の子だってイチャイチャしたいんですって

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「なーなー俺のこと好き?」 放課後。教室を出て靴箱に向かう途中で、自分よりも頭一個分ほど大きい彼に唐突に問いかけた。 その彼は付き合って1ヶ月の、今風で言う彼ぴっぴくんだ。 「...はい?なに言うてるんお前」 少し前を歩く彼の顔は見えないが、声色からして不機嫌そうだった。 そんな様子にも臆することなく、もう一度問いかける。 「だーかーらー!俺のこと好き?って聞いてるんだけど!」 「好きってどーいう?好きやなきゃ友達やないやろ?」 「そーゆう好きじゃなくて!」 「あー、はいはい好きやで」 理解した彼は頭を掻きながら、自分の欲しい言葉を口にした。好き、と言って欲しかったはずだったが、めんどくさそうに言う彼にぷぅー、と自然と頬が膨らむ。 「なにそれ、全然気持ちがこもってない」 なおも食い下がらない自分に対して彼は、軽くため息をついた。 「お前、ほんまうるさいな~」 「なんで!俺だってふっつーの人たちみたいにイチャラブしたいやん!」 切実さを含んだその声に思わず彼が振り返った。真剣な眼差しで彼を見つめる。彼も同じように視線を返してくれた。10秒間くらいお互いに見つめ合い、彼が先に折れた。心なしか彼の顔が赤いような気がしたが、夕陽と相まっていて赤くなっているのかはわからなかった。 「ーー好きやで」 「俺も好き!」 「はいはい知っとる知っとる」 「もー!なんよそれー!」 そんな放課後の日常。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!