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「ふーん、なんの用事?」
どうでも良さそうな態度を意識しながらさりげなくリリアーナに探りを入れる。
「…それは、その…ディーク達とのお茶会に誘われてて…」
「……え。お茶会…?」
「…うん。さっきセドリックに誘われたから」
予想もしていなかった言葉に唖然とする。
何故お茶会が?
前回はそんな事なかったじゃないか。
誰とも約束がなかったから街にお出掛けしてしまったんじゃなかったのか?
「街は…街には行かないわけ?」
「えっ、街?……えと、本当は今日行くつもりだったけど、別に急ぎでもなかったから今度にしようと思って…どうして知ってるの?」
「…は、いや、別に!知ってたわけじゃないから!」
不審そうな目を向けられて慌てて否定する。
何だよ、お茶会に誘われてるんなら私が呼び出した意味ないじゃん!
一人で悩んでたのがバカらしくなってきた。
前回の記憶を持っているのは私だけっぽいから仕方なく引き止め役をしたというのに、こんなオチになるとは。
気分もやる気もだだ下がりだ。
「もういい、ならさっさと王子達のとこ行けば。淫乱女」
街に行く日を別の日に変えているのだから、今日はもう学校の敷地内から出る気は無いのだろう。
ならば私が気にする事はもうない。
面倒臭げに溜め息を吐いて、リリアーナを払うように手を動かす。
「まーた言ってるねえ、子猫ちゃん」
「っ…!」
教室から出て行っても良いのかと戸惑いを見せていたリリアーナから視線を逸らすと、不意に聞こえた嫌な声に体が地味に反応する。
まーた来たよこの人!!
「せ、セドリック王子」
「セドリック?どうしたの?」
「うん?子猫ちゃんがお茶会になかなか来ないから探しに来たんだ」
なら私に声掛けるのやめてほしい。
あなたの声が本当に心臓に悪いから、やめてくださいほんと。
リリアーナにちょっかいをかける度に顔を出してくるセドリック王子に、媚び媚び対応が続けられるわけもなく。
苦々しく視線を送る。
因みにこの間本人に向かって嫌いだと言ってやったばかりだ。
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