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王子達に媚を売っている手前、この誘いを断るのがあまりよろしくない事は分かっている。
セドリック王子への媚売りは失敗したが、その他の王子にはまだ継続中なのだ。
とはいえ、クラスの関係上殆どディーク王子にしか絡めていなかったが。
セドリック王子の圧に負け、渋々と空いている椅子に腰掛けながらディーク王子の隣に座るリリアーナに視線を落ち着かせる。
個人的に王子達を見るのは抵抗があるし、かといって極端に別の方向を向いているのもおかしい。
ならば一番見ていられるリリアーナを見るしかない。
因みに、私の右隣にセドリック王子が座り、左隣には艶やかな黒髪をオールバックにし、切れ長のつり上がった真っ赤な目が特徴的なボスワース家の第一王子、クライド・ディム・ボスワースが座っている。
「さて、揃った事だしお茶会を始めようか」
ディーク王子のその一言でみんながテーブルにあるティーカップを手に取った。
その動きに合わせて私もティーカップを手にする。
…というか、お茶会って何してるの?
庶民育ちだからお茶会なんかとは縁がない。
作法とかあるのか、これは。
「ディーク。今日のお茶会はリリアーナを生徒会に入れるかって話だったけどさ、こいつに聞かれていいわけ?」
それぞれがティーカップに口を付けてお高そうな紅茶を飲むと、先にティーカップを置いたライオネル王子が私に視線を向けてきた。
…あの、口に出した時点で私に聞かれてるんですが。
それはいいんですか?
聞かなかったフリをするべきだろうか。
「問題ないよ。子猫ちゃんは公表前の内容を周りに広めるような子じゃない」
「そ、そうだよ、ライオネル。私も、フェニーちゃんは大丈夫だと思う」
なかなかに美味な紅茶をちびちびと飲みながら視線を泳がせる私に、セドリック王子とリリアーナが庇うような言葉を繋げる。
何故、私はいじめている本人からフォローされているのだろうか。
普通は恨まれたりするものじゃないのか。
「ライオネル、俺も大丈夫だと思うぜ」
「…オリヴァーまで、こいつの事知ってるんだ」
「ああ、この間図書室でな」
「ふーん」
追加でオリヴァー王子まで参戦してしまった。
待ってくれ。本当に待ってくれ。
私の株どうなってるの??
悪役ですけど?悪役のはずなんですけど?
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