__阻止開始

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『なんで…どうしていつも、私の大切な人はみんな…みんな裏切るの?』 …なんだろう。どこかで聞いた台詞だ。 『嫌だよっ、私の事嫌いなんて言わないで!愛して欲しいのっ…!』 苦しそうな女の子の声。 泣きじゃくるその子の前には誰かが居るはずなのに、靄がかかったように二人の姿がはっきりと見える事はない。 ただ言える事は、そのどちらも私ではないという事だ。 『私には───だけだったのに。…やっぱり幸せになんてなれないんだ。……はは、はははッ…!!』 「──っ、…!」 女の子が笑い始めた瞬間、背筋がぞっとするような感覚に襲われて思わず飛び起きる。 ……知ってる。 この、そこ知れない恐怖には身に覚えがある。 多分…いや、あの女の子は、前回のリリアーナだ。 私が直接聞いた台詞ではないから、断言は出来ないが、一瞬見えた虚ろな目は前回のリリアーナにそっくりだった。 ドクドクと耳に響く鼓動を鎮めながら額の冷や汗を拭う。 「…びっくりした。漸く起きたんだね、フェニーさん」 心地良く目覚める事はできなかったものの、少し睡眠を取れた事で腹痛は治ったらしい。 その事に息を吐いたが、それと同時に頭上から声を掛けられて思わず固まる。 「うなされていたみたいだけど、何か悪い夢でも見たのかい?」 まだ何も返事をしていないというのに、続けて話しかけてくるのは、ふわりとした栗色の髪に、切れ長で涼しげな碧色の目を持つ爽やかな男__ディーク王子だ。 え、なんでこの人が図書室にいるの。 こわいこわいこわい。普通に寝てたんだけど。 え、これ寝顔とか見られてないよね? テンパって中々顔を上げない私を不思議に思ったのか、顔を覗き込もうとしてきたディーク王子に、ぱっと顔を上げて視線を合わせる。 「で、ディーク王子……その、はい。変な夢を見てしまって。…ディーク王子はどうしてここに?」 「僕は本を借りに来たんだよ。今はお昼休みだしね」 ですよね。 当たり前の事を聞いた私がバカでした。 しかし、ディーク王子の言葉には思考停止する。 聞き間違えてなければ、今この人はお昼休みと、そう言ったはずだ。 一体私は何時間眠ってしまっていたのだろうか…。
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