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ちゅんちゅん、ちちちち。
朝である。
ここぞとばかりに爽やかな小鳥たちの合唱で、僕は目を覚ました。
視線だけを部屋にめぐらし、壁掛け時計を確認する。時刻は六時。いつもならもうとっくに起きて、学校に行く支度をしている時間だ。
重ダルい手で、のそり、と布団を持ち上げる。
「うっ、寒っ……!」
思わず、布団をかぶり直してしまった。
いつもならそんなに、寝起きが悪い方じゃない。だけど、ときは三月。春眠暁を覚えずに加え、今日は寝間着を着ていなかった。剥き出しの肩に、早朝の空気は冷たすぎる。
それでも、いつまでも寝ているわけにはいかない。僕は意を決して、今度こそ布団から抜け出した。
昨夜脱ぎ散らかしたはずの衣服、それより下着……いやそれはもういい。なによりもまず、眼鏡を探さないと――
手首をぐっと掴まれた。
「………シズル? どこいくんだ」
布団から伸びた、たくましい男の腕。
「あっ、タツキ。起き――」
と、いう言葉は、いきなりキスでふさがれた。力づくでベッドに引き戻される。僕はすぐにウーウー唸って暴れたが、まったく無駄な抵抗だった。タツキは僕よりも一回り大きく、力も強い。
僕の両手をベッドに磔(はりつ)け、タツキは笑った。
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