6/6
前へ
/6ページ
次へ
「……その呼び方は、学校についてからでよろしい。辰木くん」  本当は、一日たりともブッキングさせてはいけなかったんだけどな。  ……まあなんというか、うっかり。  明日まで待つとか、なんかもう、いっかぁって。  情熱的で強引で、縋りつくように抱きしめられて……つい。  一日くらい、事前(フライング)だけども、やっちゃっていいかなって……うん。まあね。  まあいいじゃん! 三十余年も生きてれば、そういうテンションになっちゃうことだって、一回くらいあるだろうっ。  革靴を履いて、よし準備万端。アパートの扉が閉まる直前に、部屋の中から声がした。 「シズルぅううーっ好きだぁっ! ずっと前から、めちゃくちゃものすごく好きだったーーーっ!!」 「うるさいだまれ、僕もだ馬鹿!!!」  怒鳴り返して、僕は聖地(シゴト)へと向かっていった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加