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ポキポキ。 隣の部屋から通知が聞こえてくる。 ンー。 布団に寝そべったスマホが揺れる。 何かの作業をする時はパソコンでLINEを開きながら進める。イヤホンで外の世界を遮断して。 疲れてパソコンから雑にイヤホンを引き抜いて布団に向かう。変換器をかましてスマホにイヤホンを刺すと同時に、ゴムがヨレヨレになったズボンに左手を添える。 クシャクシャになったティッシュを捨てて電気を消す。 ポキポキ。 またあの音だ。LINEを閉じるのを忘れていた。普段LINEがこない癖にこういう時に限って音は鳴る。パソコンの方が一呼吸分早く僕を迎えにくる。お前じゃないんだ。通知の通知をするな。予告ドッキリをされている気分だ。 通知自体はとても楽しみなものだ。気付いたならすぐにでも確認する。ただ気付いてから確認するまでに一呼吸があるのだ。二酸化炭素と一緒に何か熱いものも吐き出してしまう。残ったのは空っぽの肺と心だけ。たったそれだけなのに返事も変わってくる。 二つの機械に僕は動かされている。
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