あらすじ

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依頼のあった人を殺す。 真壁の仕事は殺し屋だった。 相手に恨みはなくても殺す。 人を殺す技術を研き続けてきた真壁は、仕事以外に趣味を持たず、興味もなかった。自分の心はすでに死んでいるものと思っている。涙なんて何十年も流してはいない。 そんなある日、その日も仕事を終えて帰宅途中に一匹の捨て犬を見かける。ダンボールに入れられて、ご丁寧に『優しい方拾ってください!』なんて貼り紙まで貼ってある。 今までの仕事に罪悪感なんてなかったが、潜在意識にはあったのかもしれない。真壁は、捨て犬を自宅へ拾って行ったのだ。 ポチと名付けられた捨て犬は、人懐っこいうえに、なかなかワガママで、天真爛漫だった。 散歩が大好きで、遊ぶのが好きで、寂しがりやな犬だった。 真壁はそんなポチに振り回されなが、最初は『拾ってやった』そんなつもりだった。 散歩に連れて行ってやる。遊んでやる。餌をやる。 面倒くさいながらも、飼い主の責任として、やってやってる。って意識だったのだが ある日、いつもなら仕事から帰った真壁を、尻尾がちぎれるんじゃないかと思うほどブンブン振って玄関で待ち構えているハズのポチが居なかった。 部屋を探しても居なかった。発見したのは、少し開いた窓。 ポチが外へ出て行ってしまったと思った瞬間、真壁の心にポッカリ穴が空いてしまったのを自覚する。 しかし次の瞬間『ワン!』背後でポチが吠えた。 真壁が振り返ると、いつも通り尻尾をブンブン振ったポチが自分を見つめている。ポチの足元にはネズミの死体が一体・・・。真壁へのプレゼントである。真壁はポチを抱き寄せ、何十年ぶりの涙を流した。 それから真壁は仕事に対して罪悪感を抱くようになってしまった。組織に引退を願い出るが、腕の良い真壁を手放したくない組織は、ポチを人質にとる。 怒った真壁はポチ救出のため単身組織へ潜入するが、待っていたのはポチに銃口を向けて真壁を脅迫するボスだった。 しかし、次の瞬間ポチがボスの腕に噛みつき、真壁は人生で最後の人殺しをしてハッピーエンドをむかえる。
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