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用意していた映画は少し前に流行った恋愛映画で主人公の恋人がラストで死んでしまうというものだった。新作でレンタルに残っている話題作、そして二人ともまだ見ていない作品という条件で探していたところ条件に当てはまったのがこの映画だったのだが、内容をあまり把握しないまま借りてしまったためにクリスマスの楽しい空気とは似つかわしくない気がした。私とサチはケーキを食べながらぼんやりと映画を眺める。 『私…あなたに出会えて本当によかった』 『僕もだよ。生まれ変わっても絶対に君を見つけるから』 映画の中のセリフに私は疑問を抱く。 「生まれ変わったらわからないんじゃないかな。」 「厳しいね。でも私はなんだかわかる気がするよ。」 サチがそんな風に言うのはなんだか意外だった。 彼女は頬杖を突きながら画面を見つつ呟いた。 それはきっと言葉にするつもりのなかった言葉だったのだろう。 「まあそれも、相手に思いを伝えられてこそ、なんだろうけど。」 映画を見つめる彼女はなんだか切なそうで、私は彼女の好きな人の件を思い出した。 「ねえサチ、私前に聞いちゃったんだ。サチに好きな人がいるって。私全然気づかなかったから相談とか乗ってあげられなかったけど、悩んでいるなら話聞くよ?」 私の言葉にサチは目を丸くしてこちらを見た。 なんでそんな顔をするのだろうと不思議そうにする私を見て、彼女は顔に手を当てて笑い出した。 「あはは…そうきたか。本当にずるいよアイは。」 私がなんでと聞くと、彼女はこちらを見てやれやれといった表情をした。 そして彼女は思ってもいなかったことを言った。 「好きな人の相談を、好きな人にできるわけないだろう?」
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