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クリスマスの件はミカに相談してみたが、ミカは生憎その日はバイトの予定があるらしく来れないとのことだった。
クリスマス前日、私はドキドキしていた。サチの家に行くのは久しぶりだ。
「明日何着ていこうかな。」
鼻歌交じりに服を選んでいると弟が貸していたCDを返しに部屋に入ってきた。
訝し気に私の様子を見ながら彼は私に尋ねる。
「ねえちゃん、明日デートにでもいくの?」
「え、ちがうよ。友達とクリスマスパーティーするの。」
「ふーん。」
弟はニヤニヤしながら部屋を出ていった。
そんな風に見えるほど、どうやら私は浮かれていたらしい。
デートか。サチがどんな気持ちで私を招待してくれたのかはわからないが、それでもこんな一年に一度のイベントの日に私と会いたいと言ってくれたことが何よりも嬉しかった。
しかし好きな人がいると言っていたが、その人を誘わなくてもいいのだろうか。
彼女は優しいから私に気を遣っているのかもしれない。私を優先してくれるのは嬉しいのだけど、それだとかえって迷惑なのではないだろうか。
頭の中にはそんな考えが過ったが、私はその疑問にそっと蓋をした。
なるほど、たしかに彼女の言う通りかもしれない。
私はきっと悪い女なのだ。
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