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早希はふと、あの忌まわしい事件を思い出した。
至が萌を刺したが、萌が願ったからと、夜人と早希で、『夜人が萌と無理心中を図った』というシナリオにすり替えて、至を助けた。
萌は最後まで至の身を案じ、夜人もまた至とかさねの事を、早希に託した。
萌も夜人も恐らく、お互い愛し合っていたが、どうしてだろう?2人は至のことも深く愛していた。
早希は、2人が亡くなってからの、至の残した証拠を、どうやってあんなに上手く隠滅出来たのか、今では全く思い出せなかった。
とにかく、頭をフル回転させて、言われた通りに証拠を始末した。
萌の鞄から抜き取った手帳には、確かに見られてはならない、秘密の記録があった。
2人が唯一、避妊を怠ったその日は、萌が初めて夜人に抱かれた日だった。そう『吉野 至との間接SEX』をした日。
その日の行為が、あの日と同じように、萌の中に命を宿したのだった。
なんという運命の悪戯なのか…
そして、手帳の最後のページには、新たな命へのプレゼントがあった。
『叶』
願いが叶うという意味で、『かなえ』
早希はそれを見た時
かさねとかなえって、双子の名前じゃないんだから
なんて思って笑い泣きしてしまった。
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