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告白というものは緊張するもので、誰かに頼めるならそうしたいくらいなのである。
だからこういう時こそ神頼み。鶫橋の神様に願いを託す。
「よっ」
「おう」
幼馴染の雄也が部屋着でこっちに向かってきた。
「待った?」
「全然」
本当はすごく待った。俺が誰か女子に告白するんじゃないかって噂になるくらい、ずっと鶫橋の上でタイミングを伺ってた。おかげで夕日の頃はとおに過ぎて、代わりに月が綺麗に水面に映っている。
「どした?」
「いやぁ」
「ん? 誰かに告白でもしようとして、言い出せなかった?」
「半分くらい正解、かなぁ」
「半分?」
遠くの方を見ていた雄也が振り向いた。
凛々しい顎元が、正面でもくっきりとしているのが良くわかる。
「好きなやつに告ろうかなって思って、ずっとタイミングはかっててさ」
「ほうほう、それで?」
ニヤつきはじめる雄也。今度は可愛い。
「今かなって思って」
「今?」
「うん、雄也、俺お前が好きだ」
「うん……うん?」
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