0人が本棚に入れています
本棚に追加
このあと2人で雑談しながら一緒に帰った。お互いにさっきまでの事はなかったかのように話題を逸らし続け、無理やりに笑い合った。いつも通りに雑談できるようになるのに、それから1週間ほどかかった。あの時の告白は、たぶん雄也の中ではなかった事にされているんだと思う。でも、それでも十分だった。自分の気持ちをぶつけるためだけの告白は、結末がどうであれ、相手にあまりダメージが出ない方が安心するものだ。これでいい。これでいいんだ。
鶫橋で一緒に水面に映る夕日を見ると成功率が上がる。この伝説にはきっと兄弟伝説がある。それはきっとあの時と同じような、水面に映る綺麗な月が何かしら関係していて……あ、でも雄也とは一緒に月を見ていないからこれは関係ないか。あの時一緒に月を見ていたら、成功率は上がったのだろうか。そう思うと、月を見ずにずっと雄也の顎元を見ていた自分を少し後悔した。
最初のコメントを投稿しよう!