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酒宴が盛り上がりはじめた会場である弐の曲輪の大広間の正面、弾正が座っていたところに大きな金屏風がおかれた。
皆、さくら姫が何かしら始めると思い注目すると、目隠しで置かれた金屏風が畳まれて仕舞われる。
檀上には舞姫姿のさくら姫が座っていた。
皆一同にかしこまる。
「一同の者、日頃の働き大義である。よってその働きに感謝を込め、心を込めて労いの舞を舞わせてもらう」
そう言い終えると、一礼して立ち上がり、笛の音にあわせ、さくら姫は舞いはじめた。その優雅な舞いに、一同は心を奪われる。
舞い終わると、座わり頭を下げて挨拶するさくら姫に、一同は拍手をおくった。
そして さくら姫が頭をあげると言葉を続ける。
「労いの舞いの後は、皆の憂いをとる手伝いをしたいと思う」
さくら姫の言葉に一同が首をかしげる中、さくら姫が合図をする。
その途端、広間の襖が取り除かれ、四の曲輪の中庭が一同の眼に飛び込む。
中庭には篝火で照らし出された柵で囲まれた先程の櫓があり、その上には さくら姫付きの女子衆が着物を捲りあげ素足を露にして、輪になって載っていた。
「うおおおおおぉぉぉぉぅぅうをおぉぉぉ!!!」
地響きの如くわき起こる一同の叫び声を合図に、櫓の上から笛太鼓の鳴り物が鳴りはじめる。
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