「夢と少しの幸せ」

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―――  朝食を食べ終えた後、紅と蒼はデザートを食べ、黒玄は珈琲を、ジュリアと翠と狛は紅茶を飲んで食後を楽しんでいた。  すると、狛は一杯飲み終え、一息つくと、少し考えたように目を静かに瞑った。そしてカップを置き、躊躇う様にジュリアを一瞥した。そして、自分を落ち着けるように息を吐き出すと、落ち着きをはらった声で話を始めた。 「・・・昨日、準備は整いました。今日から本格的に行うつもりですが、ジュリア、よろしいでしょうか?」  彼は、真剣な面持ちでジュリアを一心に見つめた。それに対し、彼女は、少し諦めたように苦笑いを零した。その表情を見るとどうも彼女は、狛の準備が整ったということに対して、どうも、乗り気ではないらしい。 「よろしいですか?って、よろしくなくても、計画上そう決まっているからね、・・・覚悟は昨日のうちに決めた。早く、ちゃんと静かに毎日過ごせるように戻さないと・・・。それに、サリちゃんも遊びに来れないもん。」  ジュリアは真剣な狛に対して、少し寂しそう答えた。だが、最後のサリちゃんという名前は少し楽しげな、嬉しげな声音であった。その声に対し、厳しめな声音で黒玄が話し始めた。 「それでもさ、どうすんだよ。敵は突き止められたが、なかなか簡単に屋敷に乗り込んで行ってっていうのが出来る相手でもない。まぁ、ジュリアが言えば或いは・・・、というより歓迎されるだろうな。でも、なかなか尻尾は出さねぇだろうしな。それから目的は確か・・・。」 「「魔界と天界の繋ぐことを阻止することー。」」   黒玄の台詞を横取りするように紅と蒼は、そう言った。 「おい、双子、横取りすんな。まぁ、とにかくこちらが手にしていることが少なすぎる。それなのに、動き始めるのは無謀すぎる。早く解決するのは賛成だが、もう少し調べた方が俺はいいと思うけどな?」  黒玄はスラスラと一気に、まくしたてる様に言うと、自分を落ちつける為だろうか、珈琲を一口飲んではふぅと息をついた。
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