「鈴の守護者は逃がす」

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「鈴の守護者は逃がす」

 彼女は全員が、自分の周りに集まっているのを確認すると、「まず・・・。」と話し始めた。 「分かってるとは思うけど、一応、確認ね。まずは、光玉(コウギョク)、水鈴(スイリン)、紺刀(コントウ)を守るために行動を起こす。それから、あっちもそれに気づくはずだから、それから釣るって感じね。・・・・・・最初はきっと、水鈴が敵に襲われる。水鈴は鈴の森ね・・・。」  ジュリアは少し考える素振りを見せると、ごそごそと胸元からネックレスを取り出すと、それに向かってフッと息を吹きかけた。すると、そのネックレスは大きな古そうな杖へと姿を変えた。そして、その杖で空中に何か陣を書き始めた。 すると、一瞬、目を瞑りたくなる程の眩しい光が辺りに満ちると、すぐにそれは消えた。 そして、その陣の上には魔界全体の地図が浮かび上がった。  彼らは、それの周りを囲むように集まった。彼女は水鈴が祀ってある、鈴の森を杖で指してみせた。それを覗き込みながら、紅と蒼は軽く首を傾げ、お互いの疑問が分かったのだろう、顔を見合わせた。 「ねぇねぇ、なんで三つともまとめてないの?」  紅と蒼は声をピッタリと揃えては、首を傾げながら、少し不思議そうな感情を混ぜた声音で訊ねた。紅と蒼の質問には気だるげに黒玄が応えた。 「あの三つはな、一つ一つの力が強すぎる。だから、バラバラに守ってた方が、安全でバランスがとれる。まぁ、近くに寄ったら、どれだけ強いか分かるだろうな。」  彼らは黒玄の答えを聞くと、ニンマリと笑い、ワクワクが止まらないといった感じで目を輝かせた。 「強いんだって、」 「壊したらどうなるかなー?」  紅が楽しそう言ったあと、蒼は首を傾げて、互いの顔を見てクスクスと笑いあった。 「だから、もしかしたら壊されるかもしれない三つを壊されない様に守るのに紅達が壊したら、ダメでしょ。」  ジュリアは苦笑いを零しつつも、この少し硬くなった雰囲気を壊すような彼らの発言に少し救われたような気がするものの、小さくため息をついた。
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