「鈴の守護者は逃がす」

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――― 「・・・見つかったね。」  彼女らは、蒼たちと同じ、鈴の森にいるようだ。 自分たちのものではない足音、蒼たちの足音に耳を澄ませながら、彼女は目の前にいる男の子の手を取った。 「相手は蒼さんと紅さんだから、手を抜けない。抜いた瞬間・・・「終わり?」 「えぇ。」  彼らは、影に潜んで歩き、蒼たちにそっと近づいて行った。彼らは二人が一緒いると思っているとこへ・・・実際は、蒼のみがいる方に向かって行った。  紅は回り込み、蒼は真っ直ぐに進んだ。このまま気付かれずに行けば、挟み撃ち・・・ ・・・の予定だった。  紅は少しずつ慎重に進んでいた。 特に失敗はなかった、がその時、足元にいた小動物が見えなかった。そのまま一歩、進めようとしたとき、視界の端に小動物を捉え、まずい、と思ったが、すでに遅かった。バランスを崩し、転びそうになったが、どうにか踏み止まった。  ・・・が、静寂な森には大きすぎる音だった。そして、正体不明の二つの影には、相手の、紅の場所を掴むのには十分な音であった。 「・・・ねぇ、琥珀。」 そう言って、少女は後ろを歩く少年に呼び掛けた。 「なに?」 琥珀と呼ばれた少年は少女の呼び掛けに答える。琥珀は少女に近寄り、彼女の言葉を促すように声を掛けた。 「正面から一人、来るわ。そちらから片付けたら・・・。」 「一人を倒せば、僕らの勝ち?」 えぇ、と少女は自信ありげに口元に笑みを浮かべ、すでに勝者になっているかのように悦に浸っていた。 「・・・私たちの勝ちよ。」  彼女は微笑みながら強い口調で真っ直ぐに紅のいる方を見た。 すると、そのまま二人はこの森に不釣合いな音のした方へと素早く移動を始めた。彼らは音の大きさから近いことを悟ったのだ。  力を宿す者たちは、お互いの気配、そして力の大きささえも感じ取ることが出来る。更に、その力を操ることの出来る者は己の力を消すことさえも出来るのである。  紅たちも己の存在を悟られぬよう、力消していたものの、紅は先ほどの失敗で動揺を隠せずにいた。 そして、二人は大きな音の原因である彼女の前に、すんなりと二人は現れると右手を前に出し、同じ動作をした。  紅も何が来るか分かったのだろう、回避しよう動き出そうとしたが、一歩遅かった。
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