「夢と少しの幸せ」

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 それから、彼女の隣にいる二人を紹介した。 「この二人も守護者ですが、ジュリア陛下の二つ下でこちらが紅(クレナイ)、それから、蒼(アオ)。失礼が多々あると思いますが、申し訳ございません。」  ジュリアは、翠の言葉などは聞いておらず、同じぐらいの年代ということに嬉しい様子で二人を見つめた。彼女にとっては初めての友人になれそうな二人なのである。  紅と呼ばれた少女は、長くて綺麗な赤の髪を持っており、チラチラとジュリアの様子を見ては目が合うと嬉しそうに、にんまりと笑みを浮かべていた。 蒼と呼ばれた少年は、少女と同じく長い髪だったが、色は綺麗な透き通った湖を連想させる青色である。そして、長い髪を緩く後ろでくくっている。 一瞬冷たい様な印象であったが、ジュリアと目が合うと少し恥ずかしそうに目を伏せた。  翠は、「最後に・・・。」と黒髪で髪が肩につくかつかないかぐらいの長さの青年を見た。 彼は、至極面倒そうに欠伸を零しながら、首をコキコキと鳴らした。 狛はそんな彼の態度が気に入らなかったのか、「黒。」と窘めるような口調で名前を呼んだ。すると、彼は小さく面倒そうにため息をつくと、黒と呼ばれた青年はジュリアに対して他の彼らとは違い、跪くことなく彼女の前にしゃがみ、目線を合わせた。 「お前さ、敬語・・・この姉ちゃんたちみたいに話すやつと俺みたいに話すやつどっちがいい?」  ジュリアはキョトンとした面持ちでいるも、質問をゆっくりと理解し、狛や翠を見て、それから黒の青年を見た。それから、少しも迷う様子を見せず、すっと腕を上げて、黒の青年の方を指差した。 「・・・だって、ジュリ、お友達が欲しいもん。」  ・・・今まで寂しいと口にはせず、態度にだって出したことの無い彼女であったが、まだ子供である。寂しくて、一人でいるのもつまらない。 花は見ていて飽きない、イグナーは見ていて癒される。 でも、寂しいということを埋めてくれる存在ではなかった。そういった彼女は少し寂しそうに笑みを浮かべていた。  小さな子供には似合わない笑みに、少し痛そうに顔を歪めたのは狛。そして、質問をした黒と呼ばれた青年は、ポカンと口を軽く開けて驚いた表情を浮かべると、クスクスと笑い始め、仕舞にはゲラゲラと笑い声を上げた。 そんな答えが返ってくるとは思わなかったらしかった。
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